我家に四国犬がやって来た ! presented by Kengo
   ラン(成蘭号)

   

 

 (呼称:ラン
本部賞  


’99年秋の埼玉支部展雄部壮犬組


本部賞決定審査のラン(2才2ヶ月)


日保本部賞楯



 

 もう一つの忘れがたい受賞は初めて本部賞をいただいた時のことです。その展覧会は1999年秋の埼玉支部展で 10月10日に行われました。当時、私は前年の茨城県に続きその年の11月に愛媛県で行われる全国展へ出陳するか どうかを迷っていました。何と言っても四国・愛媛は遠いし、わざわざ犬を連れて飛行機に乗ることもないだろう、と 思う反面、全国展の素晴らしさを考えると、ランを連れて参加してみたい気持ちもありました。そこで全国展の申し込み 締め切り前に実施されるこの埼玉支部展で、もし本部賞をとる事ができたら愛媛へ行こう!と心に決めていたのです。  本部賞は、支部展の出陳頭数によって授与される本数が違ってきますが、埼玉支部展は中型の出陳数も多く、この時も 中型雄部で1本の本部賞が用意されておりました。この賞をとるためには、ランが雄部壮犬組で1席になることが、まずは 第一関門で、それをクリアした後に、成犬組で1席になった犬と本部賞決定審査を行い、それに勝てて、はじめて本部賞犬を いう栄誉を受けることになります。  一審でのランは、すっかり展覧会慣れした感があり、かつてのような緊迫感のある立ち方ではありませんが、威風堂々 落ち着いておりました。二審では頭数が多いため、審査の南方先生が上位候補犬をリング中央へ呼び出します。圧倒的な スケール感で他を圧倒する鉄号、美しい顔貌と纏まりのある体躯を持つ雪峰号、全国展の紀州犬若一組で1席の実績を持つ 勝狼号など全国に名を馳せた紀州犬達と一緒に並べられ、見比べられます。この時の緊張感というのは、展覧会をやっている人でないと理解してもらえないでしょう。この時のために毎日のように運動をして、ブラシをかけて、立ち込みの練習をして、 歩様の練習をしてきたのですから。この緊張感の向こうにあるのは果たして「喜び」なのか「失望」なのか。

 

 

 

審査終了直後のラン


その後の支部展では
ズッコケルこともありましたが
’01年秋の三多摩展で
6本目の本部賞をいただき、
規定により完成犬ということで
支部展は卒業となりました。
応援いただいた方々、
本当にありがとうございました。

 「ハイッ」の声にハッとして前を向くと審査の先生がこちらを見て筆記用具で私を指しているではありませんか。 内心「よぉしっ!」と叫んでいた私の顔は今思うと恐らく目がぎらついた醜い表情だったろうと思います。 指定場所へ移った後、ランを先頭に次々と席次候補順に出陳犬が並べられて行きます。並べ終わった後、 先生が序列を確認に来また。ランと2席候補犬を見比べ、2席候補犬と3席候補犬を見比べるように確認して行きます。 最後に「決定します」の声でランの壮犬組1席が決まりました。これだけの有力犬が居た中での1席の意義は 本当に大きいものがありました。その余勢をかってでしょうか、成犬代表犬にも勝つことができ、初めての本部賞を 受賞することができたのです。
 ランにしてみれば苦手な車に揺られ、何が面白いのかリングの中に立たされ、いつもなら食事の時間なのに餌ももらえず、 展覧会は本当にいい迷惑かも知れませんが、唯一ご主人様の道楽だ、我慢してくれ!と心で詫びつつ、 「ようし、ラン、愛媛の全国展だ。飛行機に乗せてやる」と話し掛けておりました。